保釈請求
刑事事件において、警察や検察の捜査の段階では、俗にいう容疑者は被疑者と呼ばれますが、捜査の結果、検察官が刑事裁判によって被疑者の処罰を求めるべきと考え、起訴をすると被告人と呼ばれるようになります。
保釈とは、被告人に逃亡や証拠隠滅のおそれがあるとして身柄拘束されている場合(これを被告人勾留という)に、保釈保証金と引き換えに、被告人勾留による身柄拘束から解放することをいいます。保釈中に逃亡や証拠隠滅を図るなどした場合には保釈保証金が没収されてしまい、再度身柄が拘束されるという心理的負担を与えることで、身柄拘束と同様の効果が得られると考えられているのです。
この保釈を裁判所に求めることを保釈請求といいます。
保釈の請求がなされた場合には重大な罪を犯した場合や被告人の住所がわからない場合などの例外を除き、原則的には認められなければならないこととなっています。
例外の場合であっても、裁判所が被告人の前科や嫌疑をかけられている犯罪などを判断して保釈が認められる場合もあります。
保釈請求から実際に保釈されるまでの流れとしては、
①裁判所への保釈請求書の提出→②裁判官による審査→③保釈の可否について裁判官の決定→④保釈保証金の納付→⑤釈放
となっています。それぞれについて詳しく説明していきます。
①保釈は、保釈請求書を裁判所に提出することから始まります。この申請は被告人本人やその弁護人・配偶者・法定代理人などしか行うことができません。しかし、保釈請求書を弁護士以外が自力で作成することは難しく、被告人の弁護人に保釈の請求を一括して依頼することが多くなっています。
また保釈の申請に当たっては、被害者との示談書のコピーや、家族などからの嘆願書、保釈後に被告人を監督する旨の身元引受書なども提出することになります。
②保釈の請求がなされた場合、裁判官が審査することになります。この時裁判官は検察官に意見を求めることとなっており、必要に応じて弁護人との面会することもあります。
③審査を経て実際に保釈を許可するか否かの決定を裁判官が行います。この時保釈が許可される場合には保証金の金額だけでなく、被害者や共犯者などとの接触の禁止や保釈中の住居の変更の制限といった保釈中の制限事項も決定されます。
裁判官が保釈却下した場合には、再度保釈を請求する準抗告(第一回公判期日前のとき)や抗告(第一回公判期日後のとき)を申し立てることも可能です。
裁判所が保釈を許可した場合、保釈保証金を納付すると被告人は釈放されます。
請求してから実際に保釈されるまでの期間は、一般的に数日から1週間程度となっています。
また保釈保証金の金額は被告人の経済状況や予想される量刑によって異なり、被告人の心理的負担を与えられる金額でなければなりませんが、150万円から300万円程度が相場とされています。
保釈の請求をしたい場合には、保釈の手続きでは、様々な書類を作成・提出しなければならず、裁判官に被告人を保釈すべきことを主張する必要もあります。また保釈が認められやすくなる示談では弁護士を代理人として立てなければ交渉に応じてもらえない場合もあります。難しい手続きから解放され、保釈の可能性を高めるためにも刑事事件に強い弁護士に保釈請求を依頼すべきでしょう。
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山室 匡史Tadashi Yamamuro
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経歴
- 平成10年3月 関西大学法学部卒業
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