【弁護士が解説】売掛金の時効は何年?完成を阻止する方法は?
2020年(令和2年)4月1日に民法が改正され、売掛金の消滅時効は5年と定められました。
ここで注意したいのは、債権者が権利を行使することができることを「知った時」から5年間で売掛金は消滅時効にかかるということです。
基本的に売主と買主は契約で代金の支払期日を取り決めていますから、原則として支払期日から5年の経過で売掛金は請求できなくなると考えてよいでしょう。
本記事では消滅時効の完成を阻止する方法について解説していきたいと思います。
売掛金の消滅時効の完成を阻止する方法は?
売掛金の消滅時効の完成を阻止するには、①時効の更新、または②時効の完成猶予という措置をとる必要があります。
①売掛金の消滅時効の期間を更新(リセット)させる方法
売掛金の消滅事項の期間を更新するには次のような方法があります。
■裁判上の請求(相手方を訴える)
確定判決で売掛金の消滅時効期間が更新されるため、売掛金の消滅時効の完成を阻止できます。
■強制執行手続き
強制執行は、公的機関が債務者に直接取り立てる手続きです。
強制執行が行われると売掛金について時効が更新され、売掛金の消滅時効の完成を阻止できます。
■債務の「承認」
債務の「承認」とは、債務者が債務の存在を認めることです。
たとえば、売掛金の一部を支払ってもらうと債務者が債務を認めたことになるため、時効が更新されます。
債務者が返済の猶予を願い出た場合も「承認」にあたります。
これによって売掛金の消滅時効の完成を阻止できます。
■民事調停
民事調停は、裁判をするのではなく話し合いによって解決を図る手続きです。
民事調停によって合意がなされると、売掛金の消滅時効の期間が更新され、売掛金の消滅時効の完成を阻止できます。
②売掛金の消滅時効の完成を猶予(ストップ)させる方法
売掛金の消滅時効の完成を猶予する方法は次のようなものが考えられます。
■支払督促
支払督促は債権者の申し立てによって裁判所書記官が相手方に対して金銭の支払いを求める手続きです。
申し立てによって売掛金の消滅時効の完成を止めることができます。
■債務者に売掛金支払いの催告をする
債務者に「売掛金を支払ってほしい」と伝えることによって、6ヶ月間、売掛金の消滅時効の完成を止めることができます。
■協議を行う旨の合意をする
権利についての協議を行う旨の合意が書面すると時効の完成を止めることができます。
■仮差押手続き
仮差押とは、売掛金などの金銭債権の回収を確実にするため、相手方の銀行取引などを制限する手続きです。
仮差押えが終了したときから6ヶ月を経過するまでの間、売掛金の消滅時効の完成を止めることができます。
まとめ
売掛金の消滅時効の期間は5年と短く、時効の完成を阻止するには法的な対応をとらなくてはなりません。
かなり複雑な制度ですので、不安であればまずは弁護士に相談することをおすすめします。
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山室 匡史Tadashi Yamamuro
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- 平成10年3月 関西大学法学部卒業
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- 平成29年3月 山室法律事務所に変更
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